日本漢方における
茵蔯蒿(いんちんこう)の錯誤



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漢方医学発展のために
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果穂茵蔯と綿茵蔯の違い

 茵蔯蒿といえば中国では当然のごとくカワラヨモギの幼苗であるが、日本ではもっぱらカワラヨモギの果穂が用いられる。
 現実問題としては長年の経験から言えることは、日本で使用される果穂茵蔯でも十分に優れた効果を発揮するので、大きな問題はないように思われるが、実際の効力的には幼苗を用いた綿茵蔯の方が効果が優れているとされている。

 このことを論じた過去の拙論を参考のために以下に転載する。

 

 茵蔯蒿は本来茎葉を用いるべきで、とくに嫩葉(どんよう)ばかりを用いるのが良い。中国でも若葉だけを用いて、日本で主に使われている果穂は、用いられていません。

 いつ頃から、どうして日本ではそのように果穂ばかりを使う習慣が出来てしまったのか、勝手な憶測をいわせてもらえば、調剤上の便利さを慮って、計量に手間取る本来の嫩葉ばかりのものを廃し、サジで簡単に計れる果穂ばかりを、医者の手前勝手で使うようになったのではないか。もしそうであるとするならば、案外日本人も、ずぼらなところがあるものと、御先祖さんに対する憤りを禁じ得ません。

 従来の、果穂茵蔯でも、所期の目的を達することは、充分に可能であるようですが、本来の茵蔯蒿である嫩葉の、いわゆる綿茵蔯には、より確実な効力があるもので、聞くところでは、故荒木正胤先生や故荒木性次先生等の後世に残る大家は、綿茵蔯を使うべきだ、と主張されていたようです。

村田恭介著:中草薬漫談「綿茵蔯」(和漢薬誌339号 1981年8月)