間違いだらけの漢方と漢方薬



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日本漢方の杜撰
●漢方を堕落させた吉益東洞
●温病学を学ばない日本漢方
●白朮を蒼朮で代用する杜撰
●生姜と乾姜の驚くべき錯誤
●桂枝が存在しない日本漢方
●真防風と混用される浜防風
●漢防已と清風藤の混同問題
●果穂茵蔯蒿と綿茵蔯の錯誤
●附子を乱用する日本の漢方
●基礎理論が脆弱な日本漢方

漢方医学発展のために
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文武両道・失われた日本の心

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温病学を学ばない日本漢方の杜撰

 医療用漢方を含めて、日本漢方には「温病学」関連の方剤が僅少である。
 傷寒論・金匱要略は聖典として重要視しても、明(みん)から清代(しんだい)にかけて急速に発達した温病学を無視し続けるから当然であろう。
 だから王孟英の『温熱経緯』はおろか呉氏の『温病条弁』を見向きもしない。

 このため、一般の風邪だけでなくインフルエンザに対しても威力を発揮する温病に対する銀翹散(ぎんぎょうさん)製剤系列の方剤(天津感冒片や涼解楽など)が使用されることもないし、ましてや医療用に採用されることもない。
 一握りの中医学専門の医師、あるいは特定の中医学薬学を重視する薬局・薬店グループ関連で取り扱われるだけである。

 日本漢方では、中国古代に寒い地方の北方でまとめられた傷寒論医学ばかりに固執し、温暖な地方で発達した温病学を取り入れようとしない。
 この温暖化で食料豊な時代の急性疾患に、いつまでも栄養状態が劣り寒い地方で発達した傷寒論医学で対処しようとするのは時代錯誤に近いものと言えないだろうか。

 「温病」の概念がないまま、上気道感染症をすべて傷寒と判断する日本漢方の錯誤は是正されなければならない。
 風邪やインフルエンザを治療するのに、いつまでも傷寒論医学ばかりに固執していると、「漢方医学」は日本の伝統医学であるなどと、胸を張っておれなくなる。

 巷では、風邪に葛根湯という常識が既に崩れ始めている。病院で貰った葛根湯が意外に効かないので、薬局にかけこんだら天津感冒片や涼解楽などの銀翹散製剤が出され、これであっさり治ってしまったという例があとを絶たない。

 「傷寒論」は異病同治の模範を示したところに意義があり、「金匱要略」は同病異治の模範を示したところに意義がある。
 「温熱経緯」や「温病条弁」は現代人の急性疾患を含めて、多くの難病を解決するヒントがたくさん書かれている。

 昨今のように漢方医学に西洋医学流のエビデンス概念を取り込むことばかりに血道を上げるようでは、日本漢方の明日はないかもしれない。

参考文献